エンジニアがお金について本気出して考えてみた

株式投資や節約などについて書きます

見田宗介「現代社会はどこへ向かうか」を読んで、僕らはどこへ行くのか考えよう

スポンサーリンク

現代社会はどこに向かうか《生きるリアリティの崩壊と再生》(FUKUOKA U ブックレット1) (FUKUOKA Uブックレット)

現代社会はどこに向かうか《生きるリアリティの崩壊と再生》(FUKUOKA U ブックレット1) (FUKUOKA Uブックレット)

いわゆる要約を書こうと思ったのですが、この本自体が非常にコンパクトで無駄のない体裁であり、「要約の要約」を書いてしまうのも馬鹿馬鹿しいので感想とも言えぬ駄文をば。

以前からずっと、本を読んだり人の主張するところを見聞したりするにつけ、現代にはざっくり分けると二通りの考え方を持っている人がいるのだな、と感じていました。

それは、

  • 資本主義を信じる人
  • 資本主義を信じていない人

の2種類です。

こういうことを書くと、資本主義 vs 共産主義という対立軸を頭に浮かべる人もおられるかと思います。(今ではそういう人はあまり居ないかもしれませんが...)

ここで言っている資本主義を信じる、信じない、というのはそういう話ではなく、形を変えながらもある程度上手く機能してきた資本主義という仕組みが徐々に綻びを見せつつある現在において「永遠に成長・進歩は可能である」「成長も進歩もどこかで止まる」そのどちらかの考え方を取るということです。

いわゆる新古典派経済学やネオ・リベラリズムと呼ばれるものを信奉している人は前者に属します。現在の自民党政権下の政府もおおむねこの方向です。個人で言うと、勝間和代さんであるとか、竹中平蔵さんであるとかがこちらに属するイメージです。

前者の考えを持つ人の特徴は、それが個人であれ経済であれ、「成長」という言葉をよく使い、また成長こそ重要である、という考え方をすることです。どういう形態においても、資本主義においては個人も企業も「成長」していくことが求められ、駄目になる企業や倒産する企業があっても、全体としては無限に成長・進歩していく、というのが彼らの世界観の前提となっています。

一方で後者の人々は、人間および世界の有限性に注目します。企業が何かを作り出して利潤を得るためには何らかのエネルギーを消費する必要がありますが、当然ながら地球の持っている環境エネルギーは有限であり、廃棄物を捨てる先としての土地も、人口が増えていく余地としての地球の面積もまた有限なものです。

後者には様々な人が属しますが、僕の好きなところでは見田宗介さんや加藤典洋さんでしょうか。経済の成長の限界性という軸で捉えるならエマニュエル・トッドさんや平川克美さん、個人の成長の限界性という軸なら「ナリワイ」で有名な伊藤洋志さんや「ダウンシフト」を説く高坂勝さんが挙げられるかもしれません。

当たり前ですが、老いというものがある以上人間が永遠に成長し続けることは不可能です。それと同様に経済および企業というものも成長し続けるのは不可能だし、一定以上成熟すればどうしても成長のスピードは鈍くなる。そういった有限性を認識した上で、今まで「成長、成長」とだけ唱えてやってきた我々はどのように生きていけばいいか?それが後者の人々の思考のテーマです。

単純な二分法で語ってしまいましたが、これら二つの考え方は個人の中でも、社会の中でも、互いに混ざり合って存在しています。

「成長はしていくべきだと思っているけど、そんなにずっと人間成長なんかしないよね」「日本が限界になったら海外でモノを売る、それには納得できるけど、いつかは限界が来るよね」「毎年毎年ずーっと売上アップとか、そもそも無理じゃね?」というように。

「成長」や「進歩」を説く人々は結果としてお金や権力を持っていることが多く、現在はまだそういったステータスが力を持っている時代なので、そういう人々にアジテートされるとつい「やっぱり企業も個人も成長を続けてみんなハッピーになる、っていうのが正しい世界なのかな…?」と思ってしまいそうになります。

現代はまさに、二つの価値観に引き裂かれた時代だと僕は思っています。片方には成長と進歩を説く声の大きい人々、もう片方には経済と人間の限界を説く人々。その結果として、「成長しなくては、前に進まなくては」という気持ちと、「ものごとには限界があるんだから、もっと気楽に生きようよ」という気持ちに、両側から引っ張られているのが僕たちです。

どちらが本当に正しいのかは、誰にも分かりません。我々に出来るのは、自分に取って耳障りの良い結論や、ものごとを単純化するような結論に飛びついてしまわず、常に考え行動し続けることです。

「これからの時代はどうあるべきか?」ということについて、考えるヒントとなりそうな本を最後に挙げておきます。(ちなみに一番上の見田宗介さんの本は結構歯ごたえがあるので、ある程度以上の読書力のある人にのみオススメ、ということで...)

現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書)

現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書)

人類が永遠に続くのではないとしたら

人類が永遠に続くのではないとしたら

グローバリズムが世界を滅ぼす (文春新書)

グローバリズムが世界を滅ぼす (文春新書)

  • 作者: エマニュエルトッド,柴山桂太,中野剛志,藤井聡,堀茂樹,ハジュンチャン,Emmanuel Todd
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/06/20
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログ (2件) を見る

移行期的混乱―経済成長神話の終わり (ちくま文庫)

移行期的混乱―経済成長神話の終わり (ちくま文庫)

ナリワイをつくる:人生を盗まれない働き方

ナリワイをつくる:人生を盗まれない働き方

減速して自由に生きる: ダウンシフターズ (ちくま文庫)

減速して自由に生きる: ダウンシフターズ (ちくま文庫)