エンジニアがお金について本気出して考えてみた

株式投資や節約などについて書きます

あなたは効率的市場仮説を信じますか?

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ちょっと気の利いた金融系・投資系の本 (例えば 臆病者のための株入門 (文春新書) とか) を読むと必ず登場するのが「効率的市場仮説」です。

あまりにも多く登場するので今更説明はしません(知らない人はググってください)が、多くの本ではこの「効率的市場仮説」と「現代ポートフォリオ理論」を持ってきた上で、「インデックス投資を行うのがベストな投資方法である」というオチに至るのが定番中の定番となっています。

スマートな著者が繰り出す「市場は効率的だ」「なのでインデックスを買おう」というコンボには中々の説得性があります。この結論は知的な好奇心、探究心を満たした上でさらに「そうか!一番賢い投資法はインデックスなんだ!みんな馬鹿だなハハッ」という感情的な満足感を与えるものでもあるため、誤解を恐れずに言うならば「頭のいい人であればある程ハマりやすい一種の宗教」であると言えます。(宗教だから間違っている、ということではなく、知的な迂回を経た上で実は人間の自尊心に訴えるものである、という意味です)

僕は効率的市場仮説について触れてある本を既にうんざりするほど見てきたわけで、それなりに納得もしているのですが、なんか変だな?というモヤモヤが拭い切れずにいました。

このモヤモヤを、丁度最近読んでいる↓の本がある程度解決してくれたので紹介しておきます。

投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識

投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識

初めに言っておくと、この本は全くもって「投資入門本」ではないです。なので、ゼロから株式投資を始めたい、という方には全然おすすめできません。逆に、既にある程度は知識があって個別銘柄の売買の経験もある、というような方に非常におすすめです。

著者のハワード・マークスは、2章の「市場の効率性(とその限界)を理解する」という章で、「効率的市場仮説バンザイ」でも「効率的市場仮説ハンタイ」でもない、大人の向き合い方を提示してくれています。

全文を引くわけにはいかないのでかいつまんで言うと、

  1. 当たり前だが、全ての株式市場が完全に効率的なわけではない
  2. 効率的市場仮説を逆から捉えるなら、「非効率的な市場」においては儲けの可能性がある、ということだ
  3. 1+2の組み合わせにより、(見つけるのが簡単かどうかは別にして)現実の市場には非効率な部分があり、そこで上手く立ち回ることが投資パフォーマンスを上げるための鍵である

てな感じです。

実際にいくつかの銘柄に注目して、その日々の値動きとニュースに着目していると、「ある企業の決算で営業利益が下がった。主な理由は今後の成長に向けた投資のため。しかし決算の数値はよくなかったので株価自体は下がった」というようなケースがチラホラ見られます。

これが効率的市場仮説における「非効率」の定義に厳密に当てはまるかどうかは僕には分かりませんが、もし僕が効率的市場仮説を100%信じる安楽椅子投資家で、個別の銘柄に目を留めることが全くなかったとしたら、 こういったミスプライシングが現実の市場で起こっていることを知ることは永遠になかったでしょう。

最後に、ハワード・マークスが顧客向けのレターに書いた小咄を一つ。

効率的市場の信奉者である金融論の教授が、教え子と一緒に散歩している。 「あそこに落ちているのは10ドル札では?」と言う学生に、教授が答える。 「いや、そんなわけはない。もし10ドル札なら、誰かが拾ってしまっているはずだ」 教授が立ち去ったあと、学生は10ドル札を拾い上げ、一杯のビールにありついた。