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エンジニアがお金について本気出して考えてみた

株式投資や節約などについて書きます

いま、自分の仕事について考えるための3冊

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昨日の記事ではやや上段からというか、経済やら何やらといった肩肘の張ったタームを使って文章をまとめてしまった。考えの大枠を示したかったからでもあるのだが。

僕は「日本経済はこうでなければならない!」や「これからの個人はこう生きなくてはいけない!」のような強制力を持った語り方は嫌いで、「こういう考え方もあるんじゃないか」「こういう疑問を持ってなぜいけないのか?」「むしろなんでそうじゃなくちゃいけないのか?」という風に、自らの考え方を広げてくれるような本や人が好きだ。

だからこのブログの記事でも、現代に蔓延しているほとんど病気のような観念を徹底的に批判するというよりは「本当にそれでいいのか?」「それ以外にないのか?」と疑問を投げかけるようなテーマを取り扱い、可能であれば共感を得られるように努めたい。そう思っている。

僕たちが疑問を持ちながら日々従事している、しなければならないものの一つに、「仕事」があると思う。

そもそも何のために働くのか?ということから始まって、自分は誰のために働いているのか?会社はなんのためにあるのか?人と一緒に働くことの意味は?人間にとって、よりより働き方とはどんなものか?と考えが尽きないテーマである。

多くの人は「大人になる」過程で、上記の疑問の多くに自分なりの答えを出している、ように見える。例えば、会社は株主のものであり、会社という組織は成長し続けて利益を出し、それを株主および社会に還元することだ…等々。

僕は「結論を出す」ことが大人になることだとは思わない。むしろ、上記のような「そもそもその歴史の始めから、会社は株主のものだった。だから今後もそれでいい」「ひたすら成長を目指し利益を出し続けるのが会社のあり方で、それについては何の疑問を持たない」というような思考の姿勢は、非常に幼いものに思える。

いささか前置きが長くなってしまったが、就職や転職などの転機において、また日々働いていく上で、もろもろひっくるめて「自分にとって、仕事って一体なんだろうか?」という疑問を一度も持ったことのない人はいないだろう。

そういう悩みに答えるための本は巷に溢れているが、安易な結論を導くための本、子供のための本ではなく、ここでは考え続ける人のための本、大人のための本を紹介したい。

自分の仕事を考える3日間 ・I

自分の仕事を考える3日間 ・I

これは著者の西村佳哲さんが奈良の図書館で「自分の仕事を考える3日間」というフォーラムを数回に渡って開き、その際にゲストに対して行ったインタビューをまとめた本だ。

装丁や説明を見れば分かると思うが、これはいわゆるバリバリ働きたい人のための啓発本ではない。また、「これが答えだ」と何かを指し示すような本でもない。各々のゲストが、自分のやってきたこと、自分にとって仕事とは何か、ということについて語っている。それだけの本といってしまえば、それまでだ。

著者が「この人に話を聞いてみたい」と思ってメンバーを募った必然性から、いわゆる普通のサラリーマンや主婦みたいな人は出てこない。そこをとらえて「この人たちは特別だから…」あるいは「理想は分かるけど、皆がそんな風には働けないよね」みたいな感想を抱いてしまう人も、いるかもしれない。

だが、それはこの本の本質的な部分ではない。斜に構えずに読めば、正解とは言わずぼんやりとした道筋を与えてくれる本だと思う。

また、この本から伝わってくるのは、著者の西村佳哲さんその人の「まなざし」の温かさだ。

何も、感動的なメッセージが詰まっているとか、心が温まるようなエピソードが沢山書かれているとか、そういうことではない。内容にではなく、その語り口や文章の選び方など、本の端々にそれは表れるのだ。

僕は最近常々思うのだが、いくら表面だけを取り繕っていたとしても、他の人のことを大事にしない人間の心根というのは、ばれてしまうものだ。いくら言葉の上で正しいこと、もっともらしいことを言っていても、その人の心の程度というのはどこかに表れ、伝わってしまうものなのだ。

西村さんの本はそれと逆の方向に、本に書かれた内容からではなく、本そのもの、仕事そのものから人の温かさがじんわりと伝わってくる。そういう本なのだ。

そして、そういう仕事こそが本当にいい仕事なのではないか、ということもこの本には書いてある。

僕が現在足をつっこんでいるIT業界は、ともすればお金を吸い上げるための仕組みばかりが前面に出てしまいがちなところだ。見方によっては、温もりを持った仕事からは、ほど遠い。

それでも、折に触れて読み返し、自分の仕事について考えてみたい。理想論だけを追い求めるのではなく、思考停止と妥協を「現実」という言葉で誤魔化すのではなく。

なお、この本はシリーズ化されており、3部作となっている。残りの2つも以下に紹介しておく。

みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?

みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?

わたしのはたらき

わたしのはたらき

いずれも、暖かみのあるよい装丁だ。